← 課題一覧に戻る
内部資料・参考

設計思想

「戦略」タブの結論に至るまでに使った思考フレーム。聞かれたら「これを元に考えました」と答えるための内部資料であり、それ自体が提出物の答えではない。一般理論からの借用はあるが、多くは検討過程で独自に整理したものであることを明記する。

1.全体設計思想:コンサルティング型エンゲージメントの流れ

「アカウント運用の依頼を受けた」という前提に立つと、これは対等な共同ワークショップというよりコンサルティング領域の仕事である。

STEP 1

マーケ診断(入口プロダクト)

「SNS課題特定診断」自体を入口として置き、相談につなげる動線を作る

STEP 2

ヒアリング

依頼先にヒアリング項目を投げ、情報を収集する

STEP 3

戦略策定(事前準備)

対話の場で初めて考えるのではなく、既存ナレッジとヒアリング情報から対話前に仮説を用意しておく

STEP 4

対話ですり合わせ

用意した仮説を叩き台に、その企業だけの"見せ方"を対話の中で確定させる

STEP 5

実行設計

テンプレートに落とし込む

STEP 6

改善ループ

効果測定後、独立した改善フェーズを置くのではなく、常にSTEP3への回帰として設計する

根底にあるのは「"見せ方"の発掘は当事者だけでは完結できない」という考え方である。プロ本人は自分の仕事の何が面白いのか気づけていないことが多く(インサイダーの盲点)、外部の目による棚卸しが必要になる。だからこそ戦略策定は決め打ちにできず都度クライアントと共同で行う一方、実行は会社が変わっても型自体を共通化できるため、テンプレート化して仕組み化する。

2.Step 0の設計:ヒアリング項目と代行側の分析軸

「採用ゴール⇔認知ゴール」のような抽象的な戦略軸は、業界標準のヒアリング項目ではなく、クライアントに直接聞いても答えづらい。SNS運用代行の実務ヒアリングは予算・採用人数・現状の採用コストなど具体的な事実を聞くのが基本であり、抽象的な戦略軸はその回答から代行側が翻訳・分析するものと位置づける。そのため「クライアントへのヒアリング項目」と「代行側の内部分析軸」を分けて設計する。

2-1. クライアントへのヒアリング項目

#ヒアリング項目目的
H1採用したい人数・職種・期限(いつまでに何人)緊急度・規模感の把握
H2現在の主な採用チャネルとその成果(求人媒体・人材紹介・リファラル等)既存投資とのバランス把握
H3現状の採用コスト(1人あたり採用単価)ROI基準の設定
H4欲しい人材像・現在の応募者層とのギャップターゲット設定
H5他社と比べて誇れる制度・カルチャー・現場のエピソード差別化の種の発掘
H6社内でSNS運用を担当できる人材/撮影・出演に協力してくれそうな社員の有無運用体制・実行可能性
H7月額でかけられる予算・初期費用の許容範囲予算感の確認
H8知名度の自己評価・既存SNSアカウントの有無や実績現状把握
H9業務内容のビジュアル訴求可能性(現場・技術が見せられるか)素材の実現可能性
H10意識している競合他社・開始したい時期・最初の成果を見たい時期スケジュール・期待値の把握

2-2. 代行側の内部分析軸

ヒアリング結果を受け取った代行側が戦略の重心を決めるために内部で行う翻訳作業。クライアントに直接聞く設問ではない。

#分析軸主にどのヒアリング回答から判定するか
A1採用ゴール ⇔ 認知ゴールH1(人数・期限の切迫度)/H3(採用コストの負担感)
A2顕在層アプローチ ⇔ 潜在層アプローチH4(応募者層とのギャップ)/H5(業界イメージへの抵抗感の有無)
A3発信の主語として使える資源H5・H6(協力できる社員・エピソードの有無)
A4プラットフォーム内で新規発見されるか、既存チャネルから誘導するか(6章)H7(予算)/H2(既存チャネルとの連携可能性)

回答結果から企業のポジションを4象限(採用×顕在層/採用×潜在層/認知×顕在層/認知×潜在層)にマッピングし、近いポジションの実例ポートフォリオを提示する。分析結果は運用の重心を決めるためのものであり100%固定するものではない。

3.見せ方を考える3つの視点

実例をそのまま「型」として固定リスト化すると、カテゴリー戦略で成功している会社が増えるほど実例は際限なく増え、その都度新しい型を作り続けることになり拡張性がない。そこで実例から共通して抽出できる3つの視点(軸)として整理し、どの企業に当てはめる場合もこの3軸の組み合わせで見せ方を設計する。

視点問いパターンの両極
視点1:発信の主体誰が語ると一番説得力が出るか個人(社員個人のキャラクター・専門性)⇔ 組織・業界全体(会社のイメージ・カテゴリーそのもの)
視点2:差別化の源泉何を武器に注目を集めるかギャップ(意外性)/掛け算(属性の組み合わせ)/専門性・こだわり(深さ)/実用性(役立つ情報)
視点3:狙う効果採用直結か認知形成か(4章参照)顕在層への直接効果(採用直結)⇔ 潜在層への時間差効果(認知形成)

実例は、この3軸の組み合わせパターンとして説明できる(固定の「型」ではなく、あくまで軸への当てはめ方の参考)。

実例視点1(主体)視点2(差別化の源泉)視点3(効果)
焼鳥どん個人個人のキャラクター性認知形成寄り
大京警備保障個人ギャップ(業界イメージと個人の意外性の落差)採用直結寄り
三和交通組織・業界全体イメージ変革認知形成寄り
ビジョナリー組織(7SeaSという構造)掛け算(介護×マッチョ)両方(長期資産)
人材紹介業界一般個人実用性(役立つ情報)採用直結寄り
焼鳥しふく個人専門性・こだわり認知形成寄り

このフレームワークの利点は、新しい実例が出てくるたびに新しい「型」を作る必要がなく、既存の3軸のどこに位置するかを判定するだけで済む点にある。

4.「認知獲得」と「採用直結」は別軸で評価する

SNSでバズっていること(フォロワー数・再生数)と「20代未経験者を採用する」ゴールへの貢献は必ずしも一致しない。他社事例として、大京警備保障は応募12名・入社1名という実績で、SNSマーケティングとしては成功しているが採用直結の効果は件数ベースでは小さい。同社25歳・土居さんの実例(TikTok視聴→数カ月後の想起→応募→入社)は、認知が"今すぐ効かない"のではなく"数カ月後に効いてくる"時間差のある資産になりうることを示唆する。

5.SNS→採用の5段階ファネル

「バズって届く」機能(STEP1〜3)と「実際に応募を決める」機能(STEP4〜5)は別の関数であり、単一の見せ方論だけでは足りない。

STEP 1

リーチ

アルゴリズムに乗る設計が要る

STEP 2

記憶定着

固有名詞・印象が後で思い出せる

STEP 3

想起トリガー

転職を考え始めた時に思い出される(時間差)

STEP 4

不安解消

懸念軸ごとに手段を割当(下記)

STEP 5

行動喚起

応募ページまでの摩擦の少なさ

STEP4「不安解消」の優先順位は、エン転職の実データ2件(「未経験職種へのチャレンジ」調査・2017年・8,801名/「転職活動の不安」実態調査・2026年・1,562名)で裏取りした。

順位懸念軸割合
1エントリーの壁(未経験でも受け入れてもらえるか)75%
2適性不安(自分に合う仕事か判断がつかない)50%
3キャリア・研修体制(十分な教育制度があるか)49%
4雰囲気(良い人間関係が築けるか)41%
5勤務スタイル(残業など)30%

当初の仮説(キャリア/給与/雰囲気の3軸)は、どの軸にも入らない最大の懸念「エントリーの壁」を見落としていた。「未経験OK」バナーは既にどの求人にもあり見た瞬間に真に受けられないため、宣言ではなく実際に仕組み化されている証拠(研修カリキュラムの実物・資格取得支援の実績・未経験入社者の実例等)を見せる必要がある。介護特有には、上記5軸とは別に「業界イメージそのものへの懸念(=きつい)」がもう1層存在する二重構造があり、1つのメッセージで両方を一度に解消しようとしない。

一番歩留まりが低いのはSTEP1〜4を経て「実際にエントリーする」区間という仮説。SNS視聴→エントリーの精緻な転換率は実測データが存在せず、A社アカウントを実際に動かして計測する。

6.チャネル設計の3パターン

株式会社エージェント 選考課題2 ご回答

20代未経験者向けSNS採用戦略
——実行まで巻き取る"代行"前提の設計

今川大悟 2026年8月 提出 架空モデル企業「A社」への適用

0.課題の再定義と結論

「20代未経験者を採用したい」という相談は、大手の"型"をなぞっても解けない。

知名度がある大手企業(オープンハウス・レバレジーズ・DYM等)は、社名だけで応募母集団を確保できるため、SNS採用への依存度がそもそも低い。この戦略が本当に効くのは、知名度がなく社名だけでは母集団を作れない中小・ベンチャー企業である。経験上、SNS運用を相談してくる中小企業には少なくとも2つのタイプがあると考えている。

  • Type A:差別化・カテゴリー戦略自体が定まっていない(何を打ち出せばいいか分からない)
  • Type B:差別化の種(現場のこだわり・エピソード)はあるが、実行リソース(撮影・編集・継続投稿のスキルと人手)が足りず運用が回っていない

この2タイプで全てを説明できるわけではないが、本提案ではこの分類軸に沿ってType Bを主軸に据える。「SNS運用サポート」という依頼そのものが、差別化の種は社内にあるが継続発信するリソースがない企業から来ることが実務上多いためである。

本提案の結論:中規模の複合介護法人(正社員65名+パート35名、離職補充ベースで年間20代未経験6名の定着=グロスでは8名の入社が必要〈3-2参照〉、人材紹介費で年間500〜550万円を負担している架空モデル企業「A社」)を軸に、戦略設計だけでなく撮影・編集・投稿までコンサル側が巻き取る"代行"前提のSNSアカウント戦略を提案する。募集人数という具体的な数字に対して、代行チームが実際にSNSを回し切ることで採用単価を下げる、実行責任まで負う設計である。

1.業界理解:介護業界の構造的背景

「20代未経験の日本人を介護業界で採用したい」という相談自体が実在するかを、まず数値で確認する。

指標数値出典
有効求人倍率(介護職全体)3.71倍(都市部4.91倍、訪問介護員に限れば14.14倍)介護のお仕事お役立ち情報、ORDEN COMPASS(令和5年度)
離職率12.4%(全産業平均14.2%より低いが、母数が大きく絶対数としての欠員補充ニーズは大きい)公益財団法人介護労働安定センター調べ(令和6年度)
未経験・無資格OKの求人割合過半数(無資格から始められる求人は3割以上)みんなの採用部「介護士の採用手法まとめ」
20代の在籍比率8.7%(施設系)/5.9%(訪問系)厚生労働省資料
外国人労働者数(介護・医療福祉分野)146,105人(2025年10月時点、4年で2.5倍以上に急増)厚生労働省資料
人材紹介手数料想定年収の30〜35%、常勤介護職1人あたり平均約89万円エッセンシャルワーカー採用研究所(2023年度調べ)
SNS運用代行の相場月額10〜50万円、初期費用5〜30万円PRONIアイミツ

圧倒的な人手不足(有効求人倍率3.71〜14.14倍)と間口の広さ(未経験OK求人が過半数)がある一方、実際に在籍する20代は1割未満にとどまる。外国人材は急増しているが業界全体の規模に対してはまだ相対的に小さく、日本人20代未経験者の採用ニーズを置き換えるには至っていない。「採りたいが採れていない」というギャップが構造的に存在しており、A社のような相談は実在する案件として扱える。

2.顧客の理想状態

価値とは、A社に生まれた変化そのものである。同じKPIが積み上がり続けるだけでは価値の説明にならないため、期間ごとにA社側の何が変わったと言えるかを定義する。

期間BeforeAfter生まれる価値
0〜3ヶ月何を発信すればいいか分からず、SNSに手が出せていないコンテンツピラー・語り手の判断軸・トンマナという型が確立し、迷わず素材収集・撮影に協力できる意思決定の負荷が下がる
3〜6ヶ月何が効くか分からず、手探りで運用している懸念軸ごとの反応データが蓄積し、どの投稿がエントリーにつながるかが経験的に分かってくる勘に頼っていた判断が、実際に出た成果と紐づいたデータに基づく判断に変わる
6〜12ヶ月採用は人材紹介会社への依存度が高いSNSアカウント自体が資産化し、指名検索・自然流入経由の応募が増える採用の構造が、外部依存から自社の資産への依存にシフトする

資格取得支援制度・キャリアパス紹介など会社の基本情報を伝えるコンテンツは、一度作り込めば資産として蓄積され、同じ内容を繰り返し発信する必要がなくなる。運用が進むにつれて追加で作るのは、新しく入社した人の声や最新のエピソードといったリアルタイムの情報が中心になり、制作負荷はむしろ下がっていく。

3.A社プロフィールとヒアリング結果

事業内容特別養護老人ホーム1施設(60床)+通所介護2拠点+訪問介護1拠点。地方中核都市近郊
職員数正社員65名+パート・非常勤35名=合計100名。新規拠点開設なし(維持型)
年間採用必要数離職率12.4%を適用すると年間約12名の自然減。うち20代未経験ターゲットは年間6名(定着後・ネット)。内訳と定着調整後のグロス目標は3-2参照
依頼の背景人材紹介手数料(1人あたり平均約89万円)で6名採用すると年間約500〜550万円。社内にSNS運用人材がおらず「戦略設計〜撮影・編集・投稿まで巻き取ってほしい」
想定予算月20万円+初期20万円、年間約260万円(人材紹介費の半分以下)

3-1. ヒアリング結果と分析(想定)

ヒアリング結果(想定):

  • 採用計画:年間6名、通年採用だが特に人手が薄くなる時期に合わせて重点配分
  • 採用コスト:人材紹介手数料1人あたり平均約89万円
  • 差別化の種:資格取得支援制度・利用者との関係性の丁寧さ
  • 運用体制:内製リソースなし。外部委託(代行)前提
  • 予算:月20万円+初期20万円、年間約260万円
  • 知名度:地域内でも認知は低く待っているだけでは応募が来ない(地域の有効求人倍率4.91倍水準)
  • ビジュアル訴求可能性:中程度(派手さはないが資格取得支援・シフトの柔軟さ・利用者との関係性は見せられる)

分析結果:

  • 採用ゴールと認知形成は本来両立しづらい要素と捉える。求職者(既に介護の仕事を見ている層)への直接アプローチではなく、介護にそもそも関心がない層への業界認知形成を主軸に据え、そこから自社のエントリーにつなげる設計とする
  • 発信の主語:投稿トピックごとに語り手を切り替える方針(3-3参照)
  • チャネル:プラットフォーム内での新規発見(自然流入型)を中心に据える(予算260万円は既存チャネルからの誘導を大きく含める規模ではない)。自社採用ページへの誘導は軽く併用する

3-2. 採用目標「6名」の数的根拠と定着調整

「20代未経験6名」を所与の数字として置かず、内訳と定着リスクを分解する。

区分人数根拠
年間自然減(全体)約12名職員100名 × 離職率12.4%(介護労働安定センター調べ)
うち有資格・即戦力の中途採用枠6名既存の人材紹介チャネルを維持(本提案の対象外)
うち20代未経験のポテンシャル採用枠6名本提案(SNS戦略)の対象。20代在籍比率8.7%(厚労省・施設系)という薄さを中期的に是正する人員構成方針も兼ねる

ここでの「6名」は入社後1年間定着した人数(ネット)として定義する。医療・福祉分野の新規学卒者は就職後3年以内離職率が高卒49.3%・大卒41.5%(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」)と全産業平均を上回り、無資格未経験の20代入職者も同水準の定着リスクを抱えると見るのが妥当である。ここでは保守的に入社1年時点の定着率80%と仮置きする(実測値ではなく、運用開始後にA社の実際の入社者データで置き換える前提の想定値)。

グロス採用目標:6名(定着後)÷ 定着率80% ≈ 7.5名 → 年間8名の入社を実際のSNS経由の採用ファネル目標とする。「6名採用できればゴール」ではなく「8名入社させて6名定着させる」設計にすることで、離脱を織り込んだ数値になる。ファネル逆算(5-6参照)はこの8名を起点に行う。
この定着リスクは人材紹介チャネル経由の採用でも同様に発生しうる。534万円(1章参照、89万円×6名)を払って6名"入社"させても、定着ベースで見れば実質的な採用コストはさらに高い可能性がある。この観点はSNS戦略側の相対的な強みにもなりうる——コンテンツ自体が入社前の期待値調整(研修体制の実物提示等)を兼ねるため、早期離職の主要因である「聞いていた話と違う」ギャップを構造的に抑制できる可能性がある。

3-3. 発信の主語の考え方

A社が発信すべきトピックは「新卒がどう考えて働いているか」「キャリアアップの実例」「企業としての情報」など性質が異なり、それぞれ説得力を持つ語り手が本来別である。単一人物にすべてを語らせると話題と語り手のミスマッチでかえって説得力が落ちるため、投稿トピックごとに適切な語り手を選び、語り手が変わっても一貫させるトンマナ(撮影スタイル・キャプション文体・ロゴ配置等)を設計する。未経験入社者だけでなく、キャリアアップした先輩・教育担当・上司など幅広い立場の人が語り手として登場すること自体が、視聴者に安心感を与える要素になる。

4.見せ方の選定

  • 発信の主体:個人(現場社員個人)を主軸とする。ビジョナリーの7SeaSのような組織的な差別化装置はA社にはないため、組織・業界全体を主体にする選択肢は採用しない——お手本の軸をそのまま持ち込むのではなく、A社が持つ資源で成立する軸を選ぶという判断が、Type B企業への提案で最も重要な工程
  • 差別化の源泉:専門性・こだわり(資格取得支援・利用者との関係性の丁寧な言語化)を主軸に、ギャップ(未経験入職者本人の「入る前は不安だった→今はこう」という落差)を掛け合わせる
  • 狙う効果:介護にそもそも関心がない層への業界認知の形成を主軸に据える。既に介護の仕事を見ている求職者への直接アプローチではなく、まず業界イメージそのものを変え、その上で自社のエントリーにつなげる設計とする

個人の共感だけでは「本当に安心して働ける組織か」までは埋まらない。特養60床+通所2拠点+訪問1拠点を運営する体制の実績や、資格取得支援制度の活用実績・研修修了率といった組織としての実績を数字で補完し、共感と信頼性の両輪で不安を解消する。

5.実行設計

会社が変わっても型自体は共通化できる領域なので、テンプレートとして作り切る。運用側の人的コストは撮影・編集などのコンテンツ制作に寄せ、効果測定・振り返りは自動化する。

5-1. 代行前提の運用体制

SNS運用代行では戦略設計だけでなく実際の運用まで代行側が巻き取るパターンが多いという社内の実務知見を踏まえ、クライアント自身が運用しない前提でテンプレートを設計する。「渡して終わり」ではなく代行チーム自身が使う実行マニュアルとして作る。

設計原則(企業側の運用制約、想定):A社側の実際のペインは「撮影工数が取れない」「残業になってしまう」と想定する。すべての施策はA社側の追加工数を最小化する前提で設計する。一回の撮影・収集で完結する施策(動画撮影・データ収集・座談会等)と継続的な人的コストが発生し続ける施策(コメント欄への都度対応等)は工数構造が本質的に異なり、後者は原則採用しない。
  • 撮影同行の頻度:月2回程度の定期訪問撮影(まとめ撮りでピラー3〜5本分のストックを確保)+現場社員がスマホで撮った日常素材を随時回収するハイブリッド運用
  • 現場キャスティング:単一の「発信の主語」を1人特定して口説くのではなく、ヒアリングでコンテンツピラー(トピック)ごとに適任者を見つける工程を持つ。当事者は自分の仕事の面白さに気づいていないことが多く、キャスティング自体もコンサル側の仕事に含める
  • 意思決定の権限分担:投稿内容の最終公開判断はクライアント(会社の信用に関わるため)、企画・撮影・編集・分析は代行チーム、と契約時点で明文化する

5-2. クライアント対応窓口の二層化(AIチャットボット×月次定例)

クライアントからの質問・相談は、性質によって受け皿を分ける。

  • 平時(進捗確認・軽微な疑問・成果指標の見方等):代行チームが事前に設計したA社固有の想定問答・ナレッジベースを組み込んだAIチャットボットが一次対応する。継続的な人的コストをかけずに「気軽に聞ける」窓口を常設できる
  • チャットボットでは判断しきれない相談(効果不安・炎上懸念等):エスカレーション基準に従い人間に引き継ぐが、対応の場は新設せず既存の月次定例MTGに集約する。チャットボットが軽微な相談を吸収する分、月次MTGに上がる案件自体が絞り込まれるため頻度は増やさない
  • 拡散中の重大インシデントのみ:例外的に緊急連絡(電話等)で即時対応する。AIチャットボットが一次フィルターとして機能する前提のため、この例外ルートを使う頻度自体が低く抑えられる設計

この設計の付加価値はチャットボットというツールそのものではなく、その裏側の想定問答・エスカレーション基準の設計と継続メンテナンスにある。

画面イメージ・対話例(平時)

A社 SNS運用サポート
今月の投稿、いいねの数が先月より少ない気がするんですが大丈夫ですか?
ご確認ありがとうございます。今月のエンゲージメント率は3.2%で、直近3ヶ月平均(3.4%)とほぼ同水準です。投稿本数は先月と同じ8本、リーチ数はむしろ+12%増えています。詳しい数値は月次定例(次回8/10)でまとめてご説明しますね。

軽微な不安は一次対応で即座に安心材料を提示し、詳細は月次定例に接続する

画面イメージ・対話例(有事エスカレーション)

A社 SNS運用サポート
コメント欄に会社を批判する内容が書き込まれていて、拡散され始めています
これは月次定例を待たず、代行チーム担当者へ緊急連絡します。数分以内にお電話でご連絡しますので、そのままお待ちください。

重大インシデントと判定した瞬間、月次サイクルを経由せず即時エスカレーションに切り替わる

5-3. エントリー→面談接続の自動化

SNSからのエントリー導線は自社が管理するフォームで完結させることを前提とする。外部の求人媒体・就職関連サイトへのリンクを置いて飛ばすだけのUIしか持たない場合、マージンが発生し1人あたりの採用単価を押し上げてしまうため、自社サイトの採用ページ、それが整っていない場合はGoogleフォーム等、自社が管理する受け皿にエントリーを集約する。面談接続はGoogleカレンダー・Google Meetの標準機能で自動的にリンクを発行できる。準備として必要なのは、応募者に履歴書・職務経歴書等を事前に送ってもらうことのみで、それを見た上でオンラインの面談に参加するだけの形にできる。

5-4. コンテンツピラーと投稿サンプル

コンテンツピラーは、懸念軸(エントリーの壁/業界イメージ/雰囲気・研修・勤務スタイル)ごとに確定した手段で構成する。投稿の最終文言・素材選定は代行チームが一方的に決めず、必ずA社担当者と確認を取りながら進める前提だが、「ある程度の採用数が取れそうな投稿内容」の仮説を代行チーム側が事前に用意しておくことが対話をスムーズにする。

ピラー目的ターゲット頻度・媒体
①未経験入社者の定点密着採用(エントリーの壁)顕在層〜潜在層月2回訪問撮影・Instagram/TikTok
②利用者とのエピソード採用(業界イメージ)潜在層随時素材・Instagram
③1日密着Vlog認知(基礎パッケージ)顕在層月1回・TikTok/YouTube Shorts
  • ①エントリーの壁(最優先):未経験入社者本人の定点密着を主軸に、研修カリキュラム撮影公開・資格取得支援の実績数値開示・複数人の座談会・ビフォーアフター・教育担当側の視点を展開。コメント欄でのリアルタイム回答は継続的な人的コストを要し運用制約と矛盾するため採用せず、代替として週1回まとめてのQ&A動画とする
  • ②業界イメージ(やりがいベース):利用者とのエピソードを主軸に、感謝の言葉の紹介・「一番嬉しかった瞬間」・続ける理由を本人の言葉で。「介護=きつい」への正面反論でなく感情的リターンを前面に出す方向へ転換
  • ③雰囲気・研修・勤務スタイル(基礎パッケージ):資格取得支援制度・キャリアパスの紹介に加え、1日密着Vlog・複数社員へのミニインタビュー・シフト表や有給消化率の実例開示。差別化の主戦場でなく「一通り揃っていることを見せる」ための基礎パッケージ

投稿サンプル①(未経験入社者の定点密着・60秒ショート)

タイトル案:「入社3ヶ月、正直しんどかった?◯◯さんに聞いてみた」

シーン構成:
0:00-0:05 フック:テロップ「未経験で介護の仕事に入るのって、正直不安じゃないですか?」+本人の困り顔から始まる
0:05-0:20 自己紹介:「入社して3ヶ月の◯◯です。前は全然違う業界にいました」
0:20-0:40 本編:入社前の不安(「資格もないし、体力に自信もなかった」)→今の実感(「先輩がマンツーマンで教えてくれて、今は毎日通うのが楽しい」)
0:40-0:50 証拠カット:資格取得支援制度の実際の書類・研修中の様子をインサート
0:50-0:60 CTA:テロップ「話を聞いてみたい方はプロフィールのリンクから」+施設ロゴ

インタビュー質問リスト:入社を決めた理由/入社前に一番不安だったこと/その不安は実際どうなったか/資格取得支援制度を使ってみた感想/これから応募を考えている人に伝えたいこと

撮影メモ:施設内の明るい場所(食堂・休憩スペース等)で撮影、制服着用、BGMは明るめのアップテンポ

投稿文:「『資格なんて取れるかな』って思ってました。でも先輩たちがちゃんと教えてくれるので、今は毎日楽しく働けています。未経験から始めて3ヶ月、今の率直な気持ちを聞いてみました。資格取得支援制度についてはハイライトにまとめています。気になる方はプロフィールのリンクから採用ページをチェックしてみてください。
#未経験からの介護職 #介護職員初任者研修 #資格取得支援 #20代未経験OK #介護のリアル #地方採用」

投稿サンプル②(利用者とのエピソード・20秒ショート)

タイトル案:「『ありがとう』って言われた瞬間」

シーン構成:
0:00-0:05 導入:日常のワンシーン(食事介助・レクリエーションの様子)
0:05-0:15 本編:利用者と職員の温かいやり取り(会話・笑顔のクローズアップ)。利用者の顔出しは本人・家族の同意が取れた場合のみ、それ以外は手元や後ろ姿で表現
0:15-0:20 テロップで職員の気持ちをまとめる:「この瞬間のために、この仕事をしている」

撮影メモ:やらせ感が出ないよう自然な場面を複数回撮ってベストカットを選ぶ。利用者のプライバシー・尊厳への配慮を最優先し、施設の同意フローに従う

投稿文:「今日、利用者さんに『あなたが来ると元気が出るよ』と言ってもらえました。派手な仕事ではないけれど、こういう瞬間があるから続けられます。
#介護のやりがい #介護職 #利用者さんとの時間 #地域密着 #ケアの仕事」

投稿サンプル③(1日密着Vlog)

タイトル案:「介護士の1日、密着してみた」

シーン構成:出勤(8:30)→朝礼→午前のケア業務→休憩(しっかり休憩が取れている様子)→午後のケア業務→記録業務(タブレット活用)→退勤(17:30)。各シーン5〜10秒でテンポよくつなぐダイジェスト形式、BGMは明るめ

撮影メモ:休憩時間・シフトの柔軟さが伝わるカットを意図的に入れる(休憩室でくつろぐ様子、有給を取る同僚への言及等)

投稿文:「『きつそう』のイメージ、変わるかもしれません。休憩もちゃんと取れるし、記録業務もタブレットで効率化されています。1日のリアルな流れをそのまま見せます。
#介護士の1日 #介護職のリアル #働き方 #未経験歓迎 #Vlog」

運用上の注意:これらはA社1社に閉じた投稿内容のため横展開はできない(横展開できるのはテンプレート=フォーマットの型であり、中身の文言・素材はクライアントごとに個別に作る)。実際の投稿確定前には必ずA社担当者に内容を確認し、事実誤認・プライバシー配慮(利用者の映り込み等)がないかをチェックする。

5-5. KPI設計と「1人あたり採用コスト」の考え方

人材紹介とSNS運用代行では、コストの構造そのものが異なる。この違いが本提案の価値の核であり、KPI設計の起点になる。

チャネル費用構造年間コスト
人材紹介(現状)成功報酬型(採用1人ごとに発生する変動費)89万円 × 採用人数
SNS運用代行(本提案)月額固定費(採用人数によらず一定)260万円(固定)

固定費であるSNS運用代行は、採用できる人数が増えるほど1人あたりのコストが下がる。これが「1人あたり採用コスト」を最終指標に置く理由であり、89万円(人材紹介相場)は目標値ではなく比較のベースラインである。

採用人数1人あたりコスト(260万円÷人数)人材紹介(89万円)との比較
3名約87万円ほぼ同水準(損益分岐点)
6名(定着目標)約43万円人材紹介の半分以下
8名(グロス目標)約33万円人材紹介の4割以下
KPIの目標値:「89万円を下回っているか」ではなく、1人あたり採用コストを40万円台以下に抑えることを目標とする。損益分岐点は約3名(260万円÷89万円)で、これを超えた採用実績はすべて人材紹介より効率的な投資になる。逆に言えば3名を下回る採用しか実現できない場合、このチャネルは投資として成立しない——中途半端な人数しか採れない状態を放置しないための、撤退・見直し判断の基準としても機能する。

予算の上限ライン:年間支出は260万円の固定費を超えない設計とする(人材紹介と異なり採用人数が伸びても追加コストは発生しない)。260万円は現状の人材紹介費534万円(1章・6名×89万円)のほぼ半額にあたる。「コストを約半分にしながら、同じ採用目標を完全に達成する」というのが、この提案を一言で表す成果指標である。

採用ファネル(動画視聴→採用ページクリック→応募→内定)は、定着調整後のグロス採用目標8名(3-2参照)から逆算した半期目標として設定する(内訳は5-6)。フォロワー数推移/視聴数/エンゲージメント率/外部リンククリック数/応募数・面談数は、TikTok Business API・Instagram Graph API等の公式APIから自動取得し反映する設計(デモは6章)。

5-6. 定着調整後の年間ロードマップ(フルファネル)

グロス採用目標8名を、ファネル各段階の転換率(想定)から逆算する。1段階だけでなく全段階の絶対数を出しておくことで、実績が計画未達の際にどの段階で歩留まりが止まっているかを特定できる。

ファネル段階転換率(想定)年間必要数
動画視聴約54,000回
視聴 → 採用ページクリック想定0.5%約270件
クリック → 応募想定20%約54件
応募 → 内定・入社想定15%8名(グロス目標)

これを2章の期分け(1〜6ヶ月=型確立・データ蓄積/7〜12ヶ月=資産化)に沿って半期ごとに配分する。

期間動画視聴クリック応募入社(累計)
1〜6ヶ月目約16,200回約81件約16件2名
7〜12ヶ月目約37,800回約189件約38件8名
転換率は実測値ではなく運用初期の目標設定用の仮値。半期ごとに実績値へ置き換え、どの段階の転換率が想定より低いかを特定して打ち手を調整する(月次定例で照合)。

6.KPIダッシュボード(デモ・モックデータ)

API連携なしのモックデータ表示。本番運用時は公式APIから自動取得する設計(5-5参照)。週次目標に対する実績のビハインド判定と、月次定例で記録した情報の反映イメージを示す。表示中の目標値は画面イメージ確認用の仮値であり、実際の月次目標は運用フェーズ(5-6のロードマップ)に応じて変動する。
フォロワー数(累計)
1,284
月次目標1,200に対し +84順調
エンゲージメント率
3.2%
直近3ヶ月平均3.4%とほぼ同水準順調
採用ページクリック数(今月)
38
月次目標50に対し -12ビハインド
残り8日で+12必要
1人あたり採用コスト(年間累計)
62万円
人材紹介相場89万円を下回っている順調

週次:採用ページクリック数(実績 vs 週次目標)

実績 週次目標ライン

定例会議メモ(ここに記入した内容がダッシュボードの記録として蓄積される想定)

2026-07-13 月次定例
今月はエントリーの壁軸(①未経験者定点密着)の反応が最も良く、次月はこの比率を増やす方針で合意。
2026-06-08 月次定例
採用ページクリック数が伸び悩み。誘導文言をCTA明記型に変更してテスト。

7.会議資料ジェネレーター

単なる時間割のアジェンダではなく、成果につながる定例会議に必要な要素(前回の宿題確認→KPI進捗→課題分析→提案→決定事項→ネクストアクション→発言録)を網羅した議事録を生成する。KPI実績は4章のデータから自動反映されるため、いつ出力しても同じ形式になる。HTML内で入力・生成・印刷(PDF出力)まで完結する。

前回のアクション確認

A社(クライアント)からの共有

代行チームの分析・提案

検討事項・決定事項

次回までのネクストアクション

担当
内容
期限

発言録・自由メモ

月次定例MTG 議事録

出席:A社担当者/代行チーム

KPI進捗

フォロワー数
1,284
順調
エンゲージメント率
3.2%
順調
採用ページクリック
38
ビハインド
1人あたり採用コスト
62万円
順調

前回のアクション確認

A社側の共有事項

現状分析と打ち手の提案

次月の撮影・投稿計画

検討事項

決定事項

次回までのネクストアクション

担当内容期限

発言録・自由メモ

8.参考:実例ポートフォリオとの対比

ビジョナリー・UZUZは実在企業として引き続き価値があるが、位置づけを「軸企業(依頼者)」から「実例ポートフォリオ(お手本・対比の参考)」に変更する。

株式会社ビジョナリー(お手本)

介護×マッチョという掛け算カテゴリー創造型。フィットネス実業団「7SeaS」という発信の主語を組織構造として内蔵しているのが強みで模倣困難。フジテレビ等のメディア露出まで獲得しており、既にカテゴリー戦略が確立・機能している=Type A/Bのどちらでもなく依頼者として不自然なため軸企業から除外。この型は実際の労働環境が制度化されていることが必須条件であり、マーケが実態を裏切ると悪評につながるリスクがある学びはA社にも転用する。

UZUZ(難所ケース)

人材紹介はサービス自体が同業他社と重複しやすく「業界のマニアックな話」を生みにくい構造課題を持つ。本体164名・グループ332名規模はA社より大きく、既に月間3,000名超を集客する事業の根幹に組み込まれている=Type Bというより一定の運用体制を持つ企業に近いため軸企業から除外。

この2社を軸から外したこと自体が、「うまくいっている企業を無批判にモデルにしない」という選定基準の一貫性を示す材料になる。

9.まとめ

「20代未経験者を採用したい」という相談に対し、型を診断で当てはめて終わらせるのではなく、募集人数という具体的な数字に対して代行チームが実際にSNSを回し切り、採用単価を下げるところまで実行責任を負う設計を提案した。定着調整後のグロス採用目標8名(6名の定着を見込む、3-2参照)を動画視聴からのフルファネルで逆算管理し、1人あたり採用コストを人材紹介相場89万円の半分以下となる40万円台に抑える。年間予算260万円は現状の人材紹介費534万円のほぼ半額であり、コストを約半分にしながら、同じ採用目標を完全に達成するというのが本提案の核である。0〜3ヶ月で迷わず動ける型を確立し、3〜6ヶ月で反応データを蓄積して勘を経験則に変え、6〜12ヶ月でアカウント自体を資産化して人材紹介費への依存度を下げていく——この期間ごとの変化を代行チームが主体的に作り切ることが、A社の採用構造を「外部依存」から「自社資産」へシフトさせるという理想状態の実現に直結する。診断から仮説準備、実行、KPIに基づく振り返りまでを一貫して代行側が担う体制そのものが、募集人数という数字を実際に動かす力になる。

提案書:20代未経験者向けSNS採用戦略 / 今川大悟 / 株式会社エージェント選考課題2
株式会社エージェント 選考課題2

20代未経験者向けSNS採用戦略
——実行まで巻き取る"代行"前提の設計

今川大悟 / 2026年8月 提出
想定オーディエンス:三浦さん
※イメージ図:SNS動画コンテンツ(左)から採用決定(右)へ
課題の再定義

相談してくる中小企業は2タイプ

  • Type A:差別化・カテゴリー戦略自体が定まっていない
  • Type B:差別化の種はあるが、実行リソース(撮影・編集・継続投稿)が足りない

本提案はType Bを主軸に、戦略設計だけでなく実行まで巻き取る"代行"前提で設計する。

モデル企業

架空モデル企業「A社」

  • 中規模の複合介護法人(正社員65名+パート35名)
  • 年間20代未経験ターゲット6名の採用が必要
  • 人材紹介費で年間500〜550万円を負担中
  • 想定予算:年間約260万円(人材紹介費の半分以下)
数的根拠

「6名」の内訳と、定着を織り込んだ本当の目標

  • 年間自然減12名=職員100名×離職率12.4%
  • うち6名は資格保有・即戦力の中途採用枠(既存チャネル継続)
  • 残り6名が20代未経験のポテンシャル採用枠=本提案の対象
定着調整:医療・福祉分野は就職後3年以内離職率が高卒49.3%・大卒41.5%(厚労省)と高水準。1年定着率80%と仮置きすると、6名を定着させるには年間8名の入社がグロス目標になる。
ターゲットの解像度

採用したい20代未経験者は、どんな人か

現状(属性・心理)

  • 22〜26歳/接客・販売・工場等の非資格職、勤続2〜3年目
  • 収入の頭打ちと将来性への閉塞感
  • 「手に職を」希望はあるが、介護=「きつい」で検討外

情報接触の経路

  • TikTok/Instagramで職業系ショート動画を流し見
  • 「リアルな1日」「本音トーク」系で他業種と比較
  • 求人媒体の能動検索は、興味固定後の最終確認
最大の壁:「未経験でも受け入れてもらえるか」を不安視される傾向がある——これが20代未経験者の現状である。
最大の懸念

「エントリーの壁」をどう解消するか

75%
が「未経験でも受け入れてもらえるか」を不安視(エン転職調査)
解消の方向性:「未経験歓迎」という宣言だけでは響かない。研修カリキュラムの実物・資格取得支援の実績・未経験入社者の実例など、仕組み化されている証拠を見せることで初めて不安が解消される。
決裁者は誰か

A社で提案を判断するのは、法人本部の人事担当

  • 役職・年代:法人本部 人事・採用担当、40代、現場(介護職)出身で数年前に人事へ異動
  • 抱えているKPI:年間採用充足率、離職率、そして人材紹介費(年間500〜550万円)の圧縮
  • 意思決定の型:自分の一存では決められず、理事会に数字で説明して稟議を通す立場
  • 本音の懸念:「効果が見えない投資」「現場の負担が増える」「SNSで何かあったら自分の責任になる」の3点

この人物が理事会を説得できる材料——コストの比較・現場負担の低さ・リスク対応の体制——を揃えることが、提案が"通る"かどうかを決める。

A社への当てはめ

「共感できる個人」×「安心できる組織」の両輪で見せる

個人の視点(共感)

  • 語り手は現場の未経験入社者本人
  • 入社前の不安→入社後の実感というギャップを日常業務の実写で見せる
  • 専門性の権威付けより「自分と同じ立場」への共感を優先

組織の視点(実績・安心感)

  • 特養60床+通所2拠点+訪問1拠点を運営する体制の実績
  • 資格取得支援制度の活用実績・研修修了率を数字で提示
  • 「安心して働ける組織である」という裏付けを個人の共感に添える

ビジョナリーのような「専門性・掛け算カテゴリー」訴求とは異なり、A社は未経験者本人が主役の等身大コンテンツを主軸としつつ、組織としての実績・体制を安心材料として補完する。

実行設計

代行前提の運用体制

  • 月2回の定期訪問撮影+現場社員の随時素材提供
  • コンテンツピラーごとに適任者を都度キャスティング
  • 投稿の最終公開判断はクライアント、企画・撮影・編集・分析は代行チーム

設計原則:継続的な人的コストが発生し続ける施策は原則採用しない

クライアント対応窓口

AIチャットボット×月次定例の二層化

  • 平時:AIチャットボットが一次対応(継続コストゼロ)
  • 判断しきれない相談:既存の月次定例MTGに集約
  • 拡散中の重大インシデント:例外的に緊急連絡で即応
KPI設計

目標は「89万円を下回る」ではなく「40万円台」

  • 人材紹介:成功報酬型、1人あたり89万円(採用人数に比例する変動費)
  • SNS運用代行:月20万円の固定費(採用人数によらず一定)
  • 固定費のため、採用人数が増えるほど1人あたりコストは下がる
約43万円
260万円÷6名(定着目標)。人材紹介89万円の半分以下
予算260万円は現状の人材紹介費534万円のほぼ半額。「コストを約半分にしながら、同じ採用目標を完全達成する」が本提案の一言まとめ。損益分岐点は約3名(260万円÷89万円)=3名を下回るなら投資として成立しない、という撤退基準にもなる。
年間ロードマップ

8名入社への半期別フルファネル目標

1〜6ヶ月目

  • 動画視聴:約16,200回
  • クリック:約81件
  • 応募:約16件
  • 入社(累計):2名

7〜12ヶ月目

  • 動画視聴:約37,800回
  • クリック:約189件
  • 応募:約38件
  • 入社(累計):8名
各段階の絶対数を追うことで、未達時にどの歩留まりで止まっているかを特定できる。
決裁者にとっての成果

この提案がA社にもたらす4つの答え

  • 「効果が見えない投資」への答え:SNS運用代行は月20万円の固定費のため、採用人数が増えるほど1人あたりコストは下がる構造。6名採用できれば約43万円となり、人材紹介89万円の半分以下
  • 「現場の負担が増える」への答え:撮影は月2回の巻き取り訪問のみ、継続的な人的コストが発生する施策は設計段階で排除
  • 「何かあったら自分の責任」への答え:AIチャットボットと月次定例の二層化で、重大インシデントのみ即時エスカレーションする体制を用意
  • 「投資が一過性で終わる」への答え:作り込んだコンテンツはA社の資産として蓄積し、12ヶ月で人材紹介への依存から自社アカウント経由の応募へシフト

数字・体制・資産化という3つの軸で理事会に説明できる材料を揃えることが、この提案の実質的な価値である。

まとめ

コストを半分にしながら、採用目標を完全達成する

  • 年間8名の入社(6名の定着を見込んだグロス目標)を、動画視聴からのフルファネルで逆算管理する
  • 1人あたり採用コストを40万円台に抑え、人材紹介89万円の半分以下。年間予算も534万円のほぼ半額(260万円)に収める
  • 個人の共感(未経験者本人の等身大コンテンツ)と組織の安心感(運営実績・資格支援実績)の両輪で「エントリーの壁」を崩す

戦略設計から撮影・編集・投稿・振り返りまでを代行チームが一貫して担い、募集人数という具体的な数字を実際に動かすところまで実行責任を負う。

1 / 10